漢方医療
Chinese medicine
漢方医療
Chinese medicine
日本東洋医学会に所属しており、当院では積極的に漢方による治療を取り入れております。ご希望の場合はお気軽にお申し出ください。
漢方医学では病気や体調不良を体のバランスが崩れている状態と考えます。西洋医学的な検査などで「病名」を診断して行う治療と異なり、病気に対する「体の反応」を見て診断・治療を行っていきます。診断名は「証」で表します。
西洋薬は主に科学的に合成され、多くが単一成分でできていますが、漢方薬は薬効のある植物や動物、鉱物などから作られた生薬を組み合わせて使用します。生薬は200種類以上ありますが、その多くが植物に由来したものです。1つの漢方薬は、基本的に2種類以上の生薬で構成され、剤形には煎じ薬とエキス剤の2種類があります。当院では健康保険が適用される「医療用漢方製剤」を使用いたしますが、そのほとんどがエキス剤になります。
漢方では、「陰陽」「気・血・水」などの概念によって診断を行います。陰陽では、病気に対する抵抗力の大きさと病気の経過を示します。体力があって、病気に対する反応が強い場合が「陽証」で、新陳代謝が活発で熱が高いような場合を指します。一方で体力が失われ、新陳代謝が低下して、十分な体温が保てないような状態を「陰証」といいます。
「気・血・水」は体の中を循環して生命活動を行っている要素です。「気」は目に見えないエネルギーのようなもので、不足は「気虚」、循環の失調は「気逆」、巡りが悪く循環が停滞しているのを「気鬱(気滞)」と捉えます。「血」は血液とその働きのことで、循環が悪いものを「瘀血」、働きが悪い(量が不足した)ことを「血虚」と捉えます。「水」は血液以外の体内を循環する液体のことで、リンパ液などを表します。循環が悪いもの(代謝異常)を「水毒(水滞)」と捉えます。
これらを「四診」という診察によって診断します。「望診」では顔色や舌の様子(舌診)などを観察。「聞診」は話し方や声、呼吸や咳などを診ます。「問診」では全身の状態を細かく聞き取るのが特徴です。「切診」では脈(脈診)や腹部(腹診)を触診して確かめます。
西洋医学のほうが得意である分野では西洋医学で対応し、西洋医学では対応しにくい頭痛、生理痛、冷え性、めまいなどの不定愁訴や検査には表れにくいちょっとした不調は漢方医学で治療することで症状の改善が期待できます。大切なことは「治すべきは病気ではなくて患者さんの体である」ということです。西洋医学と漢方医学のいい点を組み合わせることで、より良い治療効果を生むことが多いと考えています。